お葬式でも泣いたけど、今度はハンカチがあったから、あんまり酷いことにはならずに済んだ。
孫全員で花束を棺桶に置くとき、「私が一番最後まで花束に触れていたい」という訳の分からん競争心から、意味なく最後まで触っていた。
お母さんが、「あんたはおじいちゃんに一番抱っこしてもらったんよ」って言った。
私は初孫やったし、そのあと4,5年は次の孫が生まれんかったから、おじいちゃんの愛情は独り占めやった。
中学校も高校も大学も、年末年始はずっとおじいちゃんの部屋で過ごした。
私がその部屋におるから、妹もその部屋にずっとおって、トランプや花札でずっとずっとみんなで遊んでた。
おじいちゃんは紅白が見たいのに、私はチャンネルを変えてばっかりやった。
最近は、おじいちゃんがやめてくれっていうのに、タケシの超常現象スペシャルばっか見てた・・・。
最低・・・。
おじいちゃんの耳が遠くなってからは、そこまでしゃべることはなかったけど、私にはそんなことはあまり関係がなかった。
関係なくずっとそばにいたし、しゃべらんからって特に何も思わんかった。
両親の前では、着替えなんかしたくないけど、おじいちゃんの前やと、気を抜くと、着替えもしてしまった。
それくらい空気のような存在。
反抗も、申し訳なさも、照れも、そういう感情は一切なく、ただ子どもの頃と変わらない真っ直ぐで真っ白な気持ちで大好きやった。
よく考えたら、そんな人、他に誰もおらん。
これから先、年末年始に帰っても、私はどの部屋で過ごせばいいんやろう。
あんなに居心地がいい部屋やったのに。

おじいちゃんが骨になって出てきたとき、「1つ持って帰ってもいい?」って母親に聞いた。「熱いし、後々処理に困るからやめとき」って言われてやめてしまった。
でも、骨壷に入りきらんかった骨はどういうふうに処分されるんやろう。
やっぱり1つ持って帰ってくればよかった。


老衰で死ぬというのは、残された人への最後のプレゼントなんやと思った。
もしこれが、すごい苦しんで死んでたり、自宅で死ねへんかったり、家族と一緒に暮らしてなかったりしたら、やっぱり後悔してたと思う。
お母さんやおばちゃんが、泣いてたけど、私よりも泣かずに気丈に振舞えたのは、後悔があんまりないからなんじゃないかと思った。
あと、85まで生きてくれてたから、みんな「そろそろいつか死んでまうかもしれへん」ってどこかで思ってたんじゃないやろうか。
みんなちょっとずつ喪の作業を開始してたから、取り乱すほど泣かずにすんだんやなぁと思った。


帰りの新幹線の中でも、時々思い出しては涙が出てきた。
これからしばらくはこうやって思い出しては泣くんやろうか。
それとも、仕事が始まればまた気が紛れて全く泣かんようになるんやろうか。
 友達から「今、○○ちゃんの結婚式行って来たで〜」ってメールがあったから、おじいちゃんが亡くなったことを伝えたら、「そんなときに、こんな浮かれたメールしてごめん・・・」って返信が来た。
それとこれとは全く別個やから、そんなこと全然いいのに・・・。
むしろ、自分が行かれんかった結婚式のことを思い出させてくれて有難かったのに。
やっぱりおじいちゃんが死んだ話は、人にすると気を使わせてまうからしたらあかんのやと思った。


今回、喪服と数珠を買った。
自分で言うのもなんだが、喪服はむっちゃ似合ってた。
2着着た時点でどっちも自他共に認める似合いっぷりで、すごい早さで決まった。
妹は、ピースボートで4,5キロ太って帰ってきたため、11号でさえ入らず、13号でもパツパツのスーツで身を固めて出席した。
そして親鸞のムラ話に感動。
夜、ピースボートの写真を見せてもらったが・・・びっくりするくらい面白くなかった。
普通、海外の写真って、どんなに枚数が多くてもむっちゃ面白くて、いろんなことを質問しながら聞くのに・・・。
妹の写真は、ほぼ、船内での男女の浮かれ踊り狂った写真で構成されていた。
私はそれには全く興味はない。
妹は写真写りがいい。
私は悪い。
妹は、目のあたりの化粧を念入りにするので、化粧をすると別人になる。
私はけばくなるのが嫌で、目にはあまり手は入れない。
妹はいつも外を向いて生きている。
私はいつも内側にばかり目がいってしまう。
ほんまに全然違うけど、笑いのツボと、近所のサティのたこ焼きを絶賛するところだけは一緒なのであった。


今まで、私はアクセサリー類にほんまに興味がなかった。
買ってくれると言われても、選べへん。
同じようなもんばっかりにも見えるし、人からどう見えるかも気になるし、買ったあとに「ほんまにこれでよかったんやろうか」って思うし。
そして今回、数珠・・・。
これやったんや、私が好きなのは・・・と思った。
蛍石っていうので、紫色。
どの石も水晶みたいに綺麗で優しい色で、全部違う色合い。
一目で気に入ったし、いくら見ても見飽きんし、ずっと身につけていつでも見れるようにしたいと思った。
お経を聞いてる間も、ずっと手でいじって見つめていた。
お勧め。


あと、妹に彼氏がおることが分かって、動悸がするくらい驚いた。
なんか、絶対おらんと確信してた私。
んで、また、それを親の前で堂々と言う妹。
やはり・・・根本が全然違うわ、この人と私は・・・。
私はそんなことは絶対いわへん。
子どもの頃の悩みの1つは「将来結婚相手を親に紹介するのが恥ずかしくて嫌」。

彼氏は100キロの巨漢らしい。
そうか・・・3桁か・・・それは・・・・・・・・・・冬暖かくて夏暑苦しそうでイイネ・・・。
ノッポさんに出てきたゴンタ君をイメージすればいい??


ドラさんと佐々木さんから、ほんまに久々に、同じ内容の、内容がなさすぎてほぼ迷惑メール並のメールが届きました。
いろいろあったのでどうしても返信する気になれず、なれたとしても「いよう」だけ書かれたメールになんと返信すればよいのか分からず、今回は返信は見送らせていただきました。
ご容赦ください。
落ち着いたら、同じ内容のメールを送り返します。
挨拶って大切やしね。


明日から、友達が職場に来る。
4月の目標は、「その友達に、一瞬たりとも悲しい思いや不安な思いをさせないこと」。
そのためには、柄にもないことでも、なんだってするつもり。
おじいちゃんは死んでもずっと見守ってくれてるし、私の心の中にはずっといる。
今度帰ったら、おじいちゃんが、私を抱っこして、愛しそうに1,2歳の私のほうを見てる写真をこっちに持って帰ってくるつもり。