カモンタツオ来たー!

 今日は仕事やった。日曜の仕事ほど嫌なもんはない。また月曜から普通に仕事始まるし!!まあ、その分平日に休んでるんやからしゃーないけどさ。

 今日は帰りのバスで、待ち人を発見した。いつもバスの中でカモンタツオを熱唱している青年だ。いつもは顔をふせ、奴が寄って来ないように防備し、イヤフォンで大音響で音楽を聞いてカモンタツオのくだらん歌詞が耳から入ってこないように気をつけているのだが、今日の私は一味違う。前々からの計画を実行にうつす。

 顔を普通にあげてたら、案の定、奴は私の席の通路を挟んだ隣に座った。そしておもむろに、私をもろに意識しながらカモンタツオを熱唱しはじめる青年。ちらちらとこっちを見ている。関係ないけど髭が濃い。

<1回戦>
 人差し指を口に当て、「バスの中では静かにしてくださいね」かなり優しい声で、職場で幼児に対して使うような声で注意してみた。これだけでも結構決断がいる。他の客もおるし。すると奴は「おねえさんは、先のとがった座薬がなんで嫌いなんですか?」と言ってきた。・・・。誰がいつそんなこと言った?何時何分何秒!地球が何回回ったときやねん!!言ってみい!その後何度か押し問答。
青年「座薬が・・・」
私「バスの中では静かにしましょう」
青年「座薬・・・」
私「みんな疲れてるから静かにしなくちゃいけないんだよ」
互いに互いの話聞いてねえ。座薬の質問に答えたら静かにするようにと一方的に言い放ったあと、「座薬は全然嫌いじゃないよ・・・」と脱力しながら答えた。でもその後ももちろん歌い始める青年。


<2回戦>
明らかに私に構ってもらうことがカモンタツオを強化してるとしか思えない・・・。予想はしていたが・・・。というわけで、イヤフォンでおもむろに音楽を聞き始めてみた。しかも、足や手でリズムを取り、「カモンタツオの歌なんてちっとも耳に入ってきてないもんね」という風味をきどってみた。すると顔を覗き込んで話しかけてくる青年。
青年「座薬は好きですか嫌いですか」
私「あれ?さっき約束したよね?(声は優しいが目は氷のように冷たい)」
青年「座薬・・・」
私「バスの中では静かにしなきゃ人の迷惑になるんだよ。迷惑になるだけじゃなくて、あなたも変な人だと思われちゃうんだよ」
青年「座薬の質問だけ答えて。じゃあこの質問は・・・」
私「今は座薬の話はしてないよね?静かにしてる話してるんだよね?」
青年「座薬・・・」
私 無視。

2回戦は、かなり冷たい目で応戦してみた。再び苦しくなってイヤフォンに逃げる私。カモンタツオを再開する青年。


<3回戦>
顔を覗き込んで「お姉さんはなんで座薬が嫌いじゃないの?嫌いじゃないんでしょ?」と言ってきた。
私「静かにしましょう(もはや声も笑ってない)」
青年「座薬の質問にだけ答えて」
私「さっき答えたので答えません」
青年「答えてくれたら黙るから」
(とうとう言いやがったな・・・。)
私「座薬は一切嫌いじゃございません!!!!」
青年 (カモンタツオの歌を歌い始める。)
私 (これでもかというくらい感情のない目で青年を凝視する)
すると、なんということでしょう(劇的ビフォアーアフター風)。奴は、私に背を向け、カモンタツオのボリュームをかなり下げて歌い始めました。

 まあ、最後のほうはまた大きい歌声になってきたんやけどさ。まあ、ちょっとは音量を落としたということで今回のところは評価しようじゃないか。私は一体何者だ。


 バスを降りるとき、また青年が話しかけてきた。
青年「おねえさん、座薬・・・」
私「今日は最後のほうは静かにできてえらかったね。次はもっと頑張って静かにしようね」
 一方的に褒めてバスを後にしました。。。


 親切のつもりで話しかけてみたんだが・・・。ちょっと横暴やったやろうか、私。青年も20歳過ぎてるのに私はため口というか子どもに話しかける口調やったし。。。でもじゃあどういう風に注意すればいいんやろう。彼氏は、青年は障害もあるし、きっと昔カモンタツオを歌って楽しく乗客と話せた経験があるからやってるんやろう、だから音楽でも聞いて放っておけば?ともいうけれど。

 とりあえず、次回は、敬語は使おう。そして、バスから降りるときには、冷たい目を緩めてちょっとはしゃべろう・・・。よく分からんけど。